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|創作のヒント

「ついやってしまう」体験のつくりかた——ゲームデザインから学ぶ人の心を動かす技術

映画でも小説でも漫画でも、冒頭で観客や読者を惹きつけることは作品にとって必要不可欠です。どれだけ素晴らしい展開が後半に待っていても、最初の数分、最初の数ページで興味を持ってもらえなければ、そこまで到達してもらえないからです。

特に現代では、ショート動画が爆発的に流行しています。その背景には、視聴者が「早く結末を知りたい」「手っ取り早く楽しみたい」と考えている傾向があるからです。情報があふれる時代において、人々の注意を引きつけ、保持し続けることは、ますます難しくなっています。

つまり、すぐに引き込む技術は、これまで以上に必要とされているといえます!

今回は、人気ゲーム機Wiiの企画にも携わっていた元任天堂の社員・玉樹真一郎氏が執筆した『「ついやってしまう」体験のつくりかた 人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ』から、人の心を動かす技術について学んでいきたいと思います。

本書の特徴

この本は、『ポケットモンスター』や『ラスト・オブ・アス』など、実際のゲームを事例として、人の心を惹きつける方法を解説しています。ゲームデザインの知見ではありますが、脚本や漫画創作でも応用できる普遍的な原理が多く含まれています。

「真っ先に結論を申し上げれば、誰にでも、あなたにも、人の心を動かす体験はつくりだせます」

── 玉樹真一郎氏『「ついやってしまう」体験のつくりかた』より

本書では、この言葉の通り、才能や感覚に頼らず、誰でも学べる「人を引き込む技術」が数々のゲーム事例とともに説明されています。

以下では、創作に特に応用しやすい手法をいくつか紹介していきます。

「ついやってしまう」体験のつくりかた 人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ

人を引き込む心理効果

1. 空白効果 ── 人は空白を埋めたくなる

空白効果とは、人が空白や欠けている部分を見つけると、自然とそれを埋めたくなる心理現象のことです。

1 2   4 5 6 7 8

このような数列を見ると、私たちは自然と「3」を連想しますよね。興味深いのは、逆に「9」は連想しないという点です。これは、明らかな空白がある場合に、人は強く反応するというです。

本書では、『ポケットモンスター』の図鑑システムがこの効果を巧みに活用している例として紹介されています。ゲーム開始時、図鑑は空白だらけです。その空白を見たプレイヤーは「埋めたい」という欲求を抱き、ポケモンを探す動機になっているといいます。

また、『ラストオブアス』でも、物語の冒頭で時間における空白を演出していると本書では解説されています。筆者も遊んだことのあるゲームですが、確かにこの演出で物語に引きこまれたのを覚えています。一体どんな演出なのか、気になった方は是非本書をご覧ください!

創作への応用:

物語の冒頭で「謎」や「未解決の疑問」を提示することで、読者に「その答えを知りたい」という欲求を生み出すことができます。主人公の過去に触れながらも詳細は語らない、世界観の一部だけを見せて全貌は隠す、といった手法が考えられます。

2. ツァイガルニク効果 ── 未解決の問題は気になり続ける

ツァイガルニク効果とは、人は解決していない問題や達成していない課題に対して、緊張感を保ち続けるという心理現象です。言い換えれば、問題が未解決のままであれば、気になる状態を維持させることができるということです。

書籍内では、『テトリス』を例にこの効果を取り上げています。テトリスでは次々とブロックを降らせることで緊張感を与える暇を与えない構造となっているといいます。

映画や漫画でも、物語の序盤に少し不穏な要素やシーンを挿入する手法はよく見られますね。例えば、冒頭で意味深な会話を交わすキャラクター、謎めいたアイテムの登場、あるいは不吉な予兆などなど。

これらは、観客や読者の心に「これはどういうことだろう?」という疑問を植え付け、その答えを求めて作品に引き込まれ続けるよう仕向ける効果があると考えられます。

創作への応用:

序盤で提示した謎や問題を、すぐには解決せず、物語を通じて少しずつ明らかにしていく構成が効果的といえます。この心理現象が、読者の「知りたい」という気持ちを持続させ、ページをめくる手を止めさせない力になります。

言葉を使わずに物語を伝える ── 『風ノ旅ビト』の事例

本書では、物語性に優れた作品として『ラスト・オブ・アス』や『風ノ旅ビト』を取り上げ、「テンポとコントラスト」という観点から分析しています。

特に『風ノ旅ビト』は、第16回D.I.C.E. Awardsで9部門を受賞するなど、非常に高い評価を得ているゲームです。この作品の大きな特徴として、言葉やセリフが一切出てこないというものがあります。それにもかかわらず、各所で「物語性が優れている」と評価されているのです。

表現手段として言葉もセリフも持たない中で、物語としての高い評価を得るというのはとても驚くべきことですね。本書では、そんな『風ノ旅ビト』がどのように物語を紡いでいるのか、その構造を丁寧に分析しています。

ビジュアル、音楽、テンポ、環境のコントラストなど、言葉以外の要素をどう組み合わせれば人の心に物語を届けられるのか。その答えを知りたい方には、本書をぜひお読みいただければと思います。

【PS5】The Last of Us Part I【CEROレーティング「Z」】(ラスト・オブ・アス)

【PS5】The Last of Us Part II Remastered 【CEROレーティング「Z」】(ラスト・オブ・アス2)

まとめ

人を引き込む体験は、才能や偶然ではなく、設計できるものです。空白効果やツァイガルニク効果といった心理原則を理解し、意識的に活用することで、あなたの創作物はより多くの人の心を動かせるようになるのではないでしょうか。

『「ついやってしまう」体験のつくりかた』は、ゲームデザインという分野で培われた知見を、脚本、漫画、小説などあらゆる創作に応用できる形で提示してくれている一冊です。

人の心を動かす技術を学び、あなたの作品に「ついやってしまう」魅力を宿してみませんか。

この記事があなたの作品を魅力的にする助けになれば幸いです。

「ついやってしまう」体験のつくりかた 人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ

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