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|創作のヒント

上達のコツは回転率!手塚治虫先生やマーク・ザッカーバーグ氏から学ぶ、創作能力を高める近道

「なかなか上達している実感が持てない」「長編に取り組んでいるけれど、これが正しい努力なのか分からない」

創作を続けていると、こうした不安にぶつかることが多いのではないでしょうか。努力の方向性が正しいのかどうか、そもそも自分が成長しているのかどうか——そういった疑問は、創作に真剣に向き合っているからこそ湧いてくるものでもあります。

また、上達までの道のりとして、1つの作品にじっくり取り組むのがよいのか、それとも短編を高スパンで仕上げていく方がよいのか、悩むところもあるかと思います。

今回は、創作活動における”回転率”という視点について、漫画の神様といわれる手塚治虫先生や、Facebookの生みの親であるマーク・ザッカーバーグ氏の言葉をヒントに考えてみたいと思います。

長編一本に全力投球することについて

「まずは100ページの長編を完成させよう」——とても真っ当な目標です。自分の中にある壮大な物語を完成させることに大きな意義があるのは間違いありませんし、長編だからこそ学べることもたくさんあると思います。

ですが一方で、長い作品を描くことには、こんな側面もあるかもしれません。

  • 完成までに時間がかかるため、編集者や読者からフィードバックを得るまでの間隔が長くなる
  • どこで失敗しているかに気づくまで、相当な時間が必要になる
  • うまくいかなかったときの心理的ダメージが大きい

もし上達が「改善の回数」に比例するとしたら、作品数が少ない状態は、成長スピードをゆるやかにしてしまう可能性もあります。長編を否定したいわけではありませんが、「短編を短期間で数多く描く」という選択肢も、真剣に考える価値があるのではないでしょうか。

手塚治虫先生の言葉から考える「短編の価値」

漫画の神様と呼ばれる手塚治虫先生は、その生涯で700本以上の作品を描いたと言われています。量産と質の高さを両立させたその姿勢は、現代の創作者にとっても多くの示唆を与えてくれます。

『ブラック・ジャック創作(秘)話~手塚治虫の仕事場から~ (3)』の中で、手塚先生は漫画創作の教えとしてアシスタントにこう語っています。

「長編を描くより短編を数多く完成させてください。それが上達への近道です」

ここで重要なのは、やはり「短編を数多く」という言葉だと思います。

手塚治虫先生のこの言葉から、短編製作の利点を考えてみたいと思います。

  • 起承転結を短期間で体験できること
  • 結末まで描き切る訓練になること
  • 自分の弱点に気づきやすいこと
  • 完成体験が積み重なることで、創作への自信や習慣が育まれていくこと

つまり、1作品ごとにPDCAサイクルを回しやすい構造になっているともいえます。

PDCAサイクルとは、計画(Plan)→ 実行(Do)→ 振り返り(Check)→ 改善(Action)の略で、この循環をはやく何度も繰り返すことで、上達速度もより高まるといわれています。

ブラック・ジャック創作(秘)話~手塚治虫の仕事場から~ (3) (少年チャンピオン・コミックスエクストラ)

冨樫義博先生の「短編インプット」

『HUNTER×HUNTER』や『幽☆遊☆白書』で知られる冨樫義博先生もまた、創作力の土台について興味深い話を残しています。

『ヘタッピマンガ研究所R』では、冨樫先生が若い頃に行っていた訓練が紹介されています。

  • 30ページほどの短編小説をたくさん読む
  • 2〜3ページの物語を「自分ならどう膨らませるか」考える

ここでも鍵になるのは「量」と「反復」です。短編を多く読むことで、物語構造のパターンを蓄積できます。展開の引き出しが増え、アイデア展開の瞬発力が鍛えられていく——そういった効果が期待できます。

長編はどうしてもインプットにおける1作品のスパンが長くなってしまうため、作品に対するインプットの回転率を高めることは難しいかもしれません。 意識的に短い作品に触れることが、創作の引き出しを増やす一つの方法とも考えられます。

ヘタッピマンガ研究所R (ジャンプコミックス)

「回転率」が有効な理由

上でも少し触れましたが、ここからは少し理屈として回転率を重視する意義を整理してみます。回転率が創作上達に有効だとする根拠は、大きく3つの観点から説明できると思います。

① フィードバック速度が上がる

上達は、試行回数 × フィードバック密度と考えることができます。短編なら数週間で1本描けるかもしれません。長編なら何ヵ月もかかることもあるでしょう。

同じ1年間で比較したとき、短編なら10〜20本の完成体験を積める可能性があります。一方、長編1本だと改善できるのは次の作品から。どちらが修正精度を高めやすいかは、自明とまでは言えませんが、フィードバックの頻度が高いほど学習機会が増えるという考え方は、一定の説得力があるのではないでしょうか。

② 失敗の心理的負担が軽くなる

長編での失敗はダメージが大きいですが、短編なら「今回は実験だった」と受け止めやすいという面があります。

心理的に安全な状態は、挑戦回数を増やします。挑戦回数が増えれば、PDCAの回数も増える。結果的に成長の機会が広がる可能性があります。「失敗してもいい」という環境をどう作るかは、創作を長く続けるうえでも重要な要素だと思います。

③ パターン認識が鍛えられる

創作はゼロからの発明というより、構造や感情の組み合わせとも言えます。短編を大量に作ることで、導入のパターン、展開の転換方法、オチのバリエーションが蓄積されていきます。

それがやがて「感覚的な判断力」につながるのかもしれません。「なんとなくここで転換したほうがいい」という直感は、意識的な反復から生まれてくる部分があるのではないでしょうか。

Done is better than perfect.(完璧を目指すより、まず終わらせろ)

ビジネスのスタートアップの世界では、「完璧を目指すより、早く作り、早く改善する」という考え方が広く知られています。

有名な言葉として、Meta(旧Facebook)のマーク・ザッカーバーグ氏も、社内に以下の言葉を掲げています。

「Done is better than perfect.(完璧を目指すより、まず終わらせろ)」

— Meta(旧Facebook)マーク・ザッカーバーグ氏が社内に掲げた哲学

リーン・スタートアップと呼ばれるこの手法では、小さなプロダクトを素早く世に出し、ユーザーの反応を見ながら改良を繰り返すことで、無駄なリソースの消費を抑えつつ、ユーザーによりよいものを提供していくことができます。

創作にも、同じ発想が応用できるのではないでしょうか。

つまり、小さく作る・早く出す・振り返る・改善する——この循環を意識することで、長期間ひとつの作品にかじりつくよりも、多くの経験値を積める可能性が高まります。

もちろん、こうした考え方がすべての創作者に当てはまるわけではありません。長編をじっくり仕上げることで見えてくるものもあると思います。大切なのは、自分の成長スタイルを把握した上で、意識的に手法を選んでいくことかと思います。

今日からできる「回転率」トレーニング案

理屈は分かった、でも具体的に何をすればいいのか——そう感じる方のために、取り入れやすいトレーニング案をいくつか整理してみます。

① 16ページの短編を目標にする

手塚治虫先生は、アシスタントたちに「まずは16ページで起承転結させる」ことを教えています。16ページで起承転結することができるなら、それより長いページにも対応できるからです。

まずは16ページを目標にしてみるのはいかがでしょうか。

加えて、まずは「描き切る」経験を積むことを優先してみましょう。完成の体験は、次の作品への原動力になるからです。最初から高いクオリティを求めすぎず、まず終わらせることを目標にしてみると、動きやすくなるかもしれません。

② 制限時間を設ける

人間の心理現象に「パーキンソンの法則」という不思議なものがあります。

これは、「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」というもので、例えば、同じ作業量なのに、期限を3日間とすると3日間かけて行い、5日間とすると5日間かけて行ってしまうという現象のことです。

創作を高スパンで回すためには、あまり時間をかけないというのも意識すべきところです。自分の想定よりも少し短い期間を目標として定めてみるのはどうでしょうか。

また、プロット1日、ネーム数日、作画1週間——というように、各工程に締め切りを設けてみると、PDCAを回すリズムが生まれやすくなります。時間制限はクオリティを下げるわけではなく、「今できる最善」を考える訓練にもなります。

③ 作品ごとにテーマを一つに絞る

「今回はどんでん返しを練習する」「次はキャラクターの感情表現に集中する」というように、1作品につきひとつのテーマを設定してみましょう。一点集中で鍛えた方が、改善点が明確になり、振り返りもしやすくなるはずです。

ただし、これらはあくまで一つの考え方です。自分に合うやり方を探しながら、少しずつ試してみるのがよいと思います。

ネタが浮かんでこないと感じたら

「回転率が大事なのは分かる。でも、そもそも書きたいネタが浮かんでこない」——何度も短編を作成していると、そういう場面もくるのではないかと思います。

そんなときは、プロの思考過程を覗いてみるのも一つの方法かもしれません。巨匠たちが実際にどのように作品と向き合っていたかを知ることで、努力の方向性が整理されることもあります。

今回の記事で取り上げた2冊は、そういった視点で読んでみると発見の多い本となっています。

\手塚先生のアシスタントへのアドバイスはこちら!/

ブラック・ジャック創作(秘)話~手塚治虫の仕事場から~ (3) (少年チャンピオン・コミックスエクストラ)

\1巻から読みたい方はこちら!/

ブラック・ジャック創作秘話~手塚治虫の仕事場から~ (少年チャンピオン・コミックス・エクストラ)

手塚先生の仕事場を実際に経験したアシスタントによる証言をもとに、巨匠がどのように作品を生み出していたかが描かれています。現場のリアルな雰囲気と、先生の創作に対する姿勢が伝わってくる一冊です。「短編を完成させる」という言葉の背景にある思想が、より深く理解できるかもしれません。


\富樫先生の技術を知りたい方はこちら!/

ヘタッピマンガ研究所R (ジャンプコミックス)

冨樫先生が漫画の技術を解説した一冊です。キャラクターの描き方からストーリー構成まで、幅広いテーマが扱われています。巨匠の視点で「漫画が面白くなる理由」を考えるきっかけになるかと思います。

最後に

創作能力を高める方法は一つではありません。人によって合うやり方も違うはずです。

ただ、手塚先生や冨樫先生の言葉から考えると、「回転率を上げること」は有効なアプローチの一つかと思います。もちろん、長編1本に全力を注ぐのも素晴らしいことです。

大切なのは、自分が今どんな課題を抱えているかを意識することではないでしょうか。「完成させる経験が少ない」と感じるなら短編の回転率を上げてみる。「構造の引き出しが少ない」と感じるなら短い作品を読んで分析してみる。そういった小さな試行が、気づけば大きな変化につながっていくと思います。

もし今伸び悩んでいるなら、16ページ程度の物語をいくつか描いてみる、という方法を試してみてはいかがでしょうか。その積み重ねが、創作のステージを少しずつ押し上げてくれる可能性があります。

ブラック・ジャック創作(秘)話~手塚治虫の仕事場から~ (3) (少年チャンピオン・コミックスエクストラ)

ヘタッピマンガ研究所R (ジャンプコミックス)

今回の記事は以上です。
この記事が、未来の人気作家の一助となれば幸いです。

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