キャラクターとの対話の重要性!小池一夫先生や富樫先生、荒木飛呂彦先生も語るキャラクターを深堀りするために必要なこと
この記事では、「キャラクターとの対話」という、プロの創作者が実践するキャラクター造形の核心的な技法について紹介します。富樫義博先生、荒木飛呂彦先生、小池一夫先生という3人の巨匠が共通して語る、キャラクターに深みを持たせるための具体的な方法を学んでいければと思います。
「何をするか」よりも「誰がするか」が面白さを決める
普段は野球にまったく興味がないのに、クラスメイトや友人が出場している試合だと、なぜか見入ってしまう。
そんな経験はないでしょうか?
スポーツファンの中にも「競技自体の面白さ」よりも「この選手が好きだから」という理由で見始めた人は少なくありません。
これは、人間の本質的な特性を表しています。それは、
人間は「人間」に興味がある
ということです。
物語も同じです。どんなに壮大な設定や複雑なプロットがあっても、読者が本当に心を動かされるのは「キャラクターの魅力」。「このキャラクターがどう行動するのか」「この人物はどんな選択をするのか」——そこに、物語の面白さがあります。
しかし、多くの創作者が直面する壁として、「キャラクターが薄っぺらくなってしまう」という問題がよくきかれます。
- キャラクターが作者の都合で動いている感じがする
- キャラクターの行動に説得力がない
- 登場人物が「記号」のように感じられる
- 読者が感情移入できない
もし、あなたもこのような悩みを抱えているなら、今回紹介する「キャラクターとの対話」という技法が、大きなヒントになると思います!
ぜひ、最後までご覧ください。
プロが実践する「キャラクターとの対話」とは?
「キャラクターとの対話」——一見、不思議な表現に聞こえるかもしれません。しかし、これは多くのトップクリエイターが実践している、キャラクターに深みを持たせるための有効な作業です。
今回は、富樫義博先生、荒木飛呂彦先生、小池一夫先生という3人の巨匠が、それぞれ下記の書籍で語っている「キャラクターとの対話」の具体的な方法を見ていきたいと思います。
1富樫義博先生の「検証作業」
『HUNTER×HUNTER』で知られる富樫義博先生は、『ヘタッピマンガ研究所R』という漫画術に関する書籍の中で、印象的なエピソードを語っています。
どんなエピソードかというと、ある展開を描きたいとき、富樫先生は「検証作業」という形で、本当にその展開になるかどうかをキャラクターに「相談」するのだそうです。
「きみらさー、実際のところどーなのよ?」
作者が「こういう展開にしたい」と思っても、キャラクターの性格や価値観と照らし合わせて検証し、もしキャラクターの行動原則と違うと感じれば、当初の構想はボツにする。この徹底した姿勢が、『HUNTER×HUNTER』の緻密なキャラクター造形を生み出しているのだと思います。
2荒木飛呂彦先生の「感情移入」
『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズで知られる荒木飛呂彦先生は、著書『荒木飛呂彦の新・漫画術 悪役の作り方』の中で、キャラクター造形のプロセスを明かしています。
荒木先生は、キャラクターに感情移入しながら、「こいつだったらどうするかな」と考えながら作業していると語っています。
「このキャラクターの視点で世界を見たら、どう感じるだろう?」
「この状況に置かれたら、このキャラはどんな選択をするだろう?」
作者自身がキャラクターの「中に入る」ことで、そのキャラクターならではの行動や選択が自然と導き出される。だからこそ、ジョジョのキャラクターたちは、一人ひとりが強烈な個性を持ち、読者の記憶に深く刻まれるのだと思います。
3小池一夫先生の「キャラクターとの対話」
『子連れ狼』『クライング フリーマン』などの原作者として知られる小池一夫先生は、著書『小池一夫のキャラクター創造論』の中で、キャラクター造形の核心を語っています。
小池先生は、キャラクターとの対話について、こう述べています。
「そうすることで、キャラクターの性格、人間味、物事に対する反応など、細かいところが見えてくる」
キャラクターと対話することで見えてくるのは、単なる行動パターンではありません。その人物の価値観、過去の経験、心の奥底にある本音——そういった「生きた人間」としての質感が浮かび上がってくるのです。
小池先生の作品に登場するキャラクターが読者の心に深く残るのは、この徹底した「対話」の積み重ねがあるからこそなんだと思います。
3人の巨匠に共通する「ある姿勢」
富樫義博先生の「検証作業」、荒木飛呂彦先生の「感情移入」、小池一夫先生の「対話」——表現は異なりますが、3人の巨匠が語る手法には、ある重要な共通点があります。
それは、「作者の都合でキャラクターを動かさない」という姿勢です。
多くの創作者が陥りがちな罠——それは、「こういう展開にしたいから、キャラクターをこう動かそう」という発想です。
しかし、トップクリエイターたちは違います。彼らは、キャラクターと真摯に向き合い、そのキャラクターの内面から生まれる行動を描いているのです。
作者の都合 vs キャラクター
作者の都合: 「ここで主人公が勇気を出して戦わないと話が進まないから、戦わせよう」
キャラクターの真実: 「このキャラクターは、どんな理由があれば戦う決意をするだろうか?その動機は、このキャラの価値観と一致しているだろうか?」
この違いが、作品の質に決定的な差を生み出すのではないでしょうか。
「対話」がもたらす3つの変化
- 1行動に説得力が生まれる
キャラクターの選択が、その人物の内面から自然に導き出されるため、読者が納得できる
- 2キャラクターに深みが出る
表面的な設定だけでなく、価値観、葛藤、矛盾といった「人間らしさ」が表現できる
- 3予想外の展開が生まれる
キャラクターに「聞く」ことで、作者も予想していなかった魅力的な展開が生まれることがある
『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』
『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』は、映画脚本家であるブレイク・スナイダー氏が著した売れる映画脚本についての法則をまとめたものですが、この本の中でもスナイダー氏は、作家からの登場人物に対する姿勢について、こう語っています。
「忘れてはならないのは、登場人物は君の召使いじゃないってこと。あくまでも自立して生きている存在で、自分の目的があってシーンに登場し、自分の心の内を打ち明けるのだ。君に変わって説明をするためじゃない」
スナイダー氏は、「競売向け脚本家」(映画会社に脚本を売る(競売にかける)ことを得意とする脚本家)の一人で、200万ドルの値がついた脚本も2本も執筆したそうです。そのうちの1つは『ジュラシック・パーク』、『ジョーズ』等も手掛けたスティーヴン・スピルバーグが購入しています。
今日から始められる「キャラクターとの対話」実践法
では、具体的にどうやって「キャラクターと対話する」のでしょうか?ここでは、すぐに実践できる3つのステップを紹介します。
1キャラクターの視点で状況を「見る」
ある場面を描く前に、そのキャラクターの視点で状況を観察してみましょう。
質問例:
「このキャラクターには、この状況がどう見えているだろう?」
「何を感じているだろう?何を恐れているだろう?」
「この瞬間、頭の中でどんな考えが巡っているだろう?」
2キャラクターに「質問」する
展開を考える際、キャラクターに直接質問してみましょう。頭の中で、あるいは富樫先生のように実際に書き出してみるのも効果的です。
質問例:
「この選択をするとき、あなたは何を考えている?」
「本当はどうしたいの?何があなたを躊躇させている?」
「もし〇〇だったら、あなたはどうする?」
3キャラクターの「抵抗」を感じ取る
もし、考えた展開に違和感があったら、それはキャラクターからの「NO」のサインかもしれません。
チェックポイント:
「この行動は、このキャラの性格と一致している?」
「これまでの経験や価値観から考えて、自然な選択?」
「読者は『このキャラならそうするよね』と納得できる?」
「そんな恥ずかしいことできるかよ」と思う人もいるかもしれませんが、小池先生も書かれているとおり、「おかしくて結構」。小池先生の手法に沿うなら、これは必要な作業なのです。
まとめ: プロの技術を学び、あなたの創作を次のレベルへ
「キャラクターとの対話」は、一見すると抽象的な技術に思えるかもしれません。しかし、富樫義博先生、荒木飛呂彦先生、小池一夫先生という3人の巨匠が共通して実践しているこの手法は、読者の心に残るキャラクターを生み出すための、具体的で効果的な方法なのだと思います。
もっと深く学びたい方へ
今回紹介した3冊の書籍には、この記事で紹介しきれなかったさらに深い創作論がたくさん詰まっています。プロットの組み立て方、読者を引き込む演出、キャラクター同士の関係性の作り方——トップクリエイターの創作の秘密を、ぜひご自身の目で確かめてみてください。
次のステップ
- 1
まずは、あなたが今書いているキャラクターに「質問」してみましょう!
- 2
上記の3冊のいずれかを手に取り、プロの具体的な技術を学んでみましょう!
- 3
学んだ技術を実践し、キャラクターの変化を実感しましょう!
あなたの創作が、「キャラクターとの対話」を通じて、
さらに豊かで魅力的なものになることを願っています。